【ゲーム音楽の作り方】初心者でもわかりやすいソフトの基礎知識|DAW・MIDI

作曲という作業は、必ずしもコンピュータを使う訳ではありません。ギターやピアノ、鼻歌でも音楽を作ることができ、目的やスタイルに応じたさまざまな作り方があります。作った曲をきちんと形にして残したい場合には、これから紹介するツールを活用することで、作業をよりスムーズに進められます。

プロの音楽制作現場では、どのように音楽を作っているのか?音楽制作を始めるにあたり、まず理解しておくべきなのが「どのようなツールを使うか」という点です。ソフトウェア(DAW)、MIDI、プラグインは、ジャンルを問わず音楽制作の土台を支える重要な存在です。これらの役割や特徴を正しく理解しておくことで、作業効率が上がり、表現の幅も格段に広がります。

こちらでは、ゲーム音楽にも応用できる音楽制作の基本ツールについて、DAW・MIDI・プラグインの基礎知識と選び方を初心者にもわかりやすく解説します。さらに、快適な制作環境を整えるための実践的なポイントも紹介します。

DAW(音楽制作ソフト)の役割と選び方

DAW(音楽制作ソフト)の役割と選び方

プロの音楽制作現場やスタジオでは、Macが主流として使用されています。Macによる音楽制作には長い歴史があり、対応ツールのバリエーションもWindowsに比べて充実しています。

ただし、ゲーム制作の現場ではWindowsの使用率が高いという実情もあります。これは、多くのゲーム制作ソフトウェアがWindows向けに提供されていることが主な理由です。

そのため、ゲームサウンドの制作現場では、MacとWindowsの両方を併用するケースも一般的です。これから音楽制作を始めるにあたってパソコンの購入を検討している場合は、まずはMacを選ぶことをおすすめします。

DAWとは何か?

DAW(Digital Audio Workstation)とは、現代の音楽制作において中核を担うソフトウェアのことです。録音、打ち込み、編集、ミックス、マスタリングまで、音楽制作のあらゆる工程を一括で管理・実行することができます。楽器が弾けなくても、音楽理論に詳しくなくても、DAWがあれば曲が作れるほど、柔軟で強力なツールです。

Macには無料で使用できる音楽ソフト「GarageBand」が標準搭載されています。本格的なDAWに進む前に、まず音楽制作を体験してみたいという方には、「GarageBand」から始めるのがおすすめです。操作感が以下で説明する「Logic Pro」と似ているため、入門用としても最適です。

主なDAWの例と特徴

Logic Pro

Appleが提供するソフトで、プロクオリティの音源・エフェクト・サンプルデータが標準で搭載されており、コストパフォーマンスにも優れています。Macユーザーに非常に人気があります。

ProTools

レコーディングスタジオで標準的に使用されているソフトで、元々はレコーディング用のソフトウェアでしたが、現在はMIDIにも対応し、独自のプラグインも多数搭載されています。音楽制作にも広く利用されています。

Cubase

MacとWindowsの両方に対応しており、「Logic Pro」と並ぶ人気を誇るソフトです。MIDI編集機能に優れており、ゲーム音楽や劇伴などの作曲に携わるクリエイターから高い評価を得ています。

Studio One

比較的新しく登場したソフトで、ユーザーインターフェース(UI)が洗練されており、初心者にも扱いやすいのが特徴です。オーディオとMIDIの統合性が高く、効率的な制作が可能です。

FL Studio

シンプルな操作性と豊富なプラグインで人気のあるソフトです。エレクトロ系やビートメイキングに強く、特に海外ユーザーから高く支持されています。

Ableton Live

短いフレーズを組み合わせて楽曲を構築するという、他のDAWとは異なるアプローチが特徴のソフトです。オーディオ解析技術に優れており、自由なタイミング調整やライブパフォーマンスにも適しています。ループ制作に強く、音の組み合わせをプログラムできます。

DAWを選ぶ際は、作りたい音楽ジャンル、UI/UXの使いやすさ、搭載機能、予算、対応OSなどを総合的に比較検討することが大切です。また、身近に同じソフトを使っている人がいると、情報交換やトラブル対応がしやすくなる点も考慮するとよいでしょう。

ゲーム音楽への応用

DAWは、作曲やアレンジ、レコーディング作業はもちろん、カットシーンに合わせたBGM制作や、効果音を映像に合わせて配置するMA(マルチオーディオ)作業(ポストプロダクション)、シンセサイザーを使った効果音の制作など、ゲームサウンドに特化した編集にも柔軟に対応できます。

多くのDAWでは、映像を読み込みながら音を付ける機能も備えており、シーンごとの演出に最適なサウンド制作が可能です。基本機能はどのDAWにも共通しているため、自分の作業スタイルや目的に合ったソフトを選ぶことが、快適な制作環境への第一歩となります。

MIDIの基本とその活用方法

MIDIの基本とその活用方法

MIDI(Musical Instrument Digital Interface)とは、楽器やコンピュータの間で「演奏情報」をやりとりするための規格です。実際の音声データではなく、「どの音を」「どのくらいの長さと強さで」「いつ鳴らすか」といった情報をデジタルで記録・伝達する仕組みです。

MIDIはオーディオデータとは異なり非常に軽量で、柔軟性に優れているのが特徴です。演奏情報を後から自由に編集・変更できるため、修正や転用にも適しており、音楽制作の効率を大きく高めてくれます。

MIDIのメリット

  • ノート(音符)やリズム、テンポなどの調整が自由自在
  • キーの変更(移調)が簡単にできる
  • 使用する音源を後から差し替えることが可能
  • ファイルサイズが軽く、扱いやすい

MIDI活用例

  • MIDI鍵盤で演奏したデータの修正
  • ハーモニー(和声)の確認や修正
  • 演奏楽器の切り替え(例:ピアノで弾いたフレーズをオルガンに差し替える)
  • 多様な楽器パートの打ち込みや編集作業

作曲においてMIDIを使いこなせるようになると、制作スピードだけでなく、仕上がりのクオリティも大きく向上します。MIDIデータは編集の自由度が高く、初心者でも扱いやすいため、まずは簡単なフレーズを組んでみるところから始めるのがおすすめです。

プラグインで広がる音楽表現

プラグインとは、DAWに追加して機能を拡張するためのソフトウェアのことです。大きく分けて、音源(インストゥルメント)プラグインや、音響処理を行うエフェクト系プラグインなどがあります。

プラグインには、VSTやAudioUnit(AU)、AAX/RTSといった形式があり、対応するOS(Mac/Windows)によって利用可能な形式が異なります。

ソフト音源プラグインの例

音源系プラグインは、実際の音を取り込む「サンプリング方式」と、動作を模倣する「エミュレーション方式」に大別されます。

  • ピアノ、ストリングス、ギター、ドラムなど、実在する楽器を忠実に再現した音源
  • アナログシンセサイザーなど、歴史的な名器をシミュレーションした音源
  • 現実には存在しない音を生み出すデジタルシンセサイザー

エフェクト系プラグインの例

多くのDAWには、以下のような基本的なエフェクト系プラグインが標準で搭載されています。

  • リバーブ:空間的な奥行きと残響を演出
  • ディレイ:反響による立体感やリズム効果を加える
  • EQ(イコライザー)/コンプレッサー:音質や音量バランスを整える基本ツール

まずは付属のツールを使いこなしながら、自分の好みに合わせて外部プラグインを追加していくのがおすすめです。

プラグイン選びのポイント

プラグインは音楽制作の幅を広げる重要なツールですが、種類が非常に多いため、目的に合ったものを選ぶことが大切です。有料・無料問わず優れた製品が存在するため、選定にあたっては、以下のポイントを意識すると良いでしょう。

  • 使用するDAWとの互換性(例:VST非対応のDAWもある)を確認
  • 多く導入しすぎると煩雑になるため、目的に合ったものを厳選する

良質なプラグインを取り入れることで、作品のクオリティが大きく向上します。まずは、標準搭載のプラグインを使いこなし、その後で必要に応じて追加していくのがおすすめです。

理想的な制作環境とは

音楽制作では、使用するソフトや機材だけでなく、音を聴く環境作りも非常に重要です。静かで反響の少ない制作環境があれば、音の聴こえ方の精度も高まり、作業効率が上がるだけでなく、より良い作品作りにつながります。

以下では、音響環境・作業空間・機材管理の3つの観点から、制作環境を整えるために押さえておきたいポイントをご紹介します。

音響環境で意識したいポイント

正確な音を聴き取り、冷静に判断できる環境は、楽曲のクオリティを左右する重要な要素です。いくら高性能な機材を揃えても、部屋の反響やノイズが影響していては、ミックスや音作りの精度が落ちてしまいます。

とはいえ、自宅に防音設備の整ったスタジオを設けるのは現実的ではありません。重要なのは、自分の作った曲を客観的に聴き取れる環境を作ることです。できれば異なる2種類以上のモニタリング手段を用意し、比較しながら音をチェックすることをおすすめします。

モニターヘッドホン

音の特性がフラットで、長時間使用しても疲れにくいものがおすすめです。購入前に店頭で試聴し、自分の耳に合うものを選ぶとよいでしょう。

モニタースピーカー

反響の少ない部屋で使用することで、音の定位や音像をクリアに把握できます。近年はコンパクトながら高性能なモデルも多く登場しています。

自宅で制作する場合でも、ヘッドホンとスピーカーを使い分けながら、適切なモニタリング環境を整えることが、より良い音作りの第一歩となります。

ワークスペースの工夫

長時間座っての作業が続く音楽制作では、身体的なストレスを軽減できる環境作りも欠かせません。ゲーム音楽に限らず、音楽制作では何度も繰り返し確認しながら作業する場面が多いため、姿勢や作業動線の影響は大きくなります。

以下のような点を意識すると、作業効率とクリエイティビティの向上につながります。

  • 椅子やデスクの高さを調整し、正しい姿勢を保てるようにする
  • よく使う機材(MIDIキーボードやオーディオIFなど)は姿勢を崩さずに使える範囲に配置する
  • 不要な機材や資料は整理整頓し、作業に集中できるスペースを確保する

物理的な“余白”を作ることで、音楽的な発想の余白も生まれやすくなります。このように、「環境を整える」という一見地味な取り組みこそが、音楽制作全体の質を大きく左右する要素となります。機材だけでなく、それを活かす“場”にもこだわってみましょう。

機材の接続と電源管理

複数の機材を使う現代の制作環境では、電源周りや接続の安定性も無視できません。電源を入れっぱなしのUSB機器や、雷などによる突発的な電圧変動は、制作中のトラブルや機材の故障につながるリスクがあります。

トラブルを防ぐための工夫

  • 雷サージ対応の電源タップを使用し、電圧変動による機材へのダメージを防ぐ(音楽機材向けの製品がおすすめ)
  • USBハブやケーブルを整理し、配線の混乱や接触不良を予防する
  • 使用していないUSB機器は電源を切る、または取り外しておく

こうした基本的な配慮を行うことで、安定した作業環境を長時間維持することができ、集中して音楽制作に取り組むことができます。

音楽制作の「道具」を理解して活かす

音楽制作におけるソフト(DAW)、MIDI、プラグインは、それぞれが楽曲制作の柱となる存在です。ツールを理解し、目的に応じて選び使いこなすことで、ゲーム音楽だけでなく幅広いジャンルに応用できるスキルが身につきます。

制作環境を整えたうえで、まずは自分の好きな曲をコピーしてみることをおすすめします。長い曲が難しければ、小さなループや短いBGMからトライしてみるのも良いでしょう。コピーをすると曲がどういった構成でできているか、どんな楽器が使われているかなど理解できます。そしてコピーをする内にツールの理解が進み、音楽表現の可能性が広がります。

株式会社ブレインストームでは、ゲーム音楽を含む多様なジャンルに対応した音楽制作のご依頼を承っております。BGM、効果音、サウンドデザインなど、専門知識を活かしてご提案いたします。ご相談は以下よりお気軽にどうぞ。

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